レシートの裏の待ち合わせ — 十月の短い創作

予定にならなかった約束これは実在の人物や出来事に基づかない短い創作です。十月の喫茶店で、捨てるはずの紙に一つの約束が残ります。説明のない小さな場面を、順番に読んでみてください。

日付のない紙 美緒は財布から古いレシートを出した。裏に「次は窓側」とだけ書いてある。誰の字かは分かる。春に会った友人の字だった。でも、いつを次にするかは決めなかった。紙は予定になれないまま財布にいた。
空いている窓側 十月の午後、その店の前を通ると窓側の席が空いていた。美緒は一人で入った。前は気づかなかったけれど、窓の下には少しだけ段差がある。友人なら、きっと鞄を置く場所を先に探すだろうと思った。
同じ写真は送らない 席の写真を送ろうとして、やめた。ここにいるという報告より、次を決めたかった。「来週、三十分だけ会える?」と打った。三十分と書くと、なぜか約束が急に手の届く大きさになった。
返事は短かった 「木曜なら」と返ってきた。美緒はレシートの裏に木曜日の日付を書き足した。窓側が空いている保証はない。けれど、今度はそれでもよかった。席より先に、会う時間が決まっていた。
紙が役目を終える日 木曜、二人は入口に近い席に座った。窓側では別の二人が話していた。美緒がレシートを見せると、友人は「次もここで」と言い、今度はその場で手帳を開いた。紙はようやく捨てられる紙になった。
自分でも作ってみませんか?

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